機材レビュー「マルチエフェクターRoland GR-55&GK-3」★★★☆☆~エレキでアコギの音を出す

ライブでエレキ曲とアコギ曲を両方やりたくて、エレキでエレアコっぽい音が出るギターを探した。

1.ピエゾが付いてるエレキギター(PRS Hollowbodyなど)
2.マグネティックピックアップが付いてるエレアコ(Taylor T5など)
3.Line6 Variax
4.アコギシミュレーション系エフェクターを使う(Zoomのマルチなど)
5.ギターシンセ(Roland系)

アコギらしさは、
Variax > ギターシンセ > Taylor > Hollowbody > エフェクター
という感じか。Variaxとギターシンセは「アコギ」っぽい音を、それ以外は「エレアコ」っぽい音を再現するので、やはり前者が半歩リードしてる感じ。

James Tyler Variaxへの代替わりにはかなり惹かれたが、レスポールモデルで15万超と安くない上に韓国製(低コスト→高ロイヤリティ=ブランド代)ということで却下。
消去法的にギターシンセの最新モデルGR-55に辿り着いた。
ちょうどピアノが入る曲もあったので、他にもシンセの恩恵がありそうなのも一因。

ギターシンセにネイティブ対応のGodinや、RolandとFenderコラボモデルなどにも惹かれつつ、まずはお試しということでギターシンセ用ピックアップ「GK-3」を既存のエレキに取り付けることに。
レスポールなどのブリッジ「チューン-O-マチック」だと、ネジ穴も両面テープも不要ということでes-335タイプに取り付け。
取り付け・調整ともに時間は要するものの、不器用な自分でも出来たので、ものすごく難しいわけではない。弦交換と合わせてやると一石二鳥。

ギターからブルースハープやらシンセリードやら、ベースやドラムの音が出るのはとても楽しい。
目的だったアコギの音は、箱鳴りの調整も出来てかなり良い感じ。エレキアンプを通すと残念な感じになるが、PA直ならベター。
息で音を鳴らすサックスなどは比較的ギターで再現しやすいものの、鍵盤楽器は再現が難しい。新手のギターテク的が必要。
シンセの音色は鍵盤シンセと同じ「らしいけど、届かない」という聞きなれたアノ感じ。
エレキ用のエフェクターは、BOSSの技術が流用されているだけあって満足。アンプシミュはLine6の方がやはり上か。

ライブでは、アコギとピアノの他にも、1~4弦をクランチ&5・6弦をフランジャーファズとか、スイッチを踏むとアコギ→アコギ+5・6弦だけディストーションのエレキ、
というような使い方で、舞台裏のスタジオミュージシャンの仕事を兼任。テクノロジーに浸って自己満足。

6弦同時に出来るチューニングは、腕6本のアシュラマンなら役立つかも知れないが、人間は1弦ずつしか出来ないので便利ではない。一覧性が良い、というのは少しうれしい。

機能がとても複雑で、かつ説明書も難解なため、使いこなすのが容易ではない。
エレキの生信号・ギター系シンセ・その他のシンセがそれぞれ別扱いで、使えるエフェクトに制限があったりしてイラっとすることも。
発展途上感をひしひしと感じる。作ってる人も色々と苦悩したんだろうなぁ。

値段が最大のマイナス点。GK-3同梱で79,800円、単体で69,800円というのは割高。お試し感覚・遊び感覚で買うには高すぎる。半額ぐらいで頑張って欲しかった。数年後にはそうなるか?
価格が許容範囲の人で、遊びたい人、ライブ中にギター1本で色々やりたい人、などにはおすすめです。

ギターシンセGR-55
ディバイデッド・ピックアップGK-3
2012/11/23